管理人が訊く「2SecHero」
それでは、本日の「管理人が訊く」、
2秒戻るパズルアクションゲーム「2SecHero」について
聞いていきましょう。
はい、お願いします。
出来る限りシンプルにしたい
このゲームは完成までに
けっこうな時間がかかったと記憶しております。
そうですね、ウディコン(※)を2回休んでいますから、
単純に考えて3年ほどかかったわけですね。
(※)ウディコン:
ウディタ公式(http://www.silversecond.com/WolfRPGEditor/Contest/)で開催されるウディタ限定のコンテスト。
作者は第3回・第4回に不参加だった。
それは製作に難航したとか、1から作りなおしたとか
あったのでしょうか。
システムに関しては最初の案がほとんど通りましたので、
難航したのはゲームデザインとシナリオですかね。
それでは「2秒前の場所へワープする」や「銃を撃って謎を解く」というのは
初期段階からの構想だったんですか?
初期段階のときからほぼありましたね。
初期段階の時はワープできるのは3秒だったのが、完成版では2秒になったぐらいしか
変更点ないんじゃないですかね。
1秒減りましたね。
それは何故なのでしょう。
3秒ぶんのワープだとワープ距離が長くなりすぎて、
「狙った場所にワープする」ということが困難だったんです。
2秒だと狙った場所にワープしやすい、と。
2秒だとよほどダッシュしない限り、
画面外へのワープはしませんからね。
「2秒前どこにいたのか」を常に見ながら
ワープボタンを押すことが出来るわけです。
目的地が見えているから、
ワープを無意識に使える、ということですか。
あと、3秒ワープだと「出来る選択肢」が多くなりすぎるので
出来る限りシンプルにしたい、ということもあります。
足せる人は多いから、自分は引ける人になりたい
今、選択肢をシンプルにしたいという話が出ましたが、
シンプル構想はこのゲームの最初から考えていたことですか?
このゲーム、というよりは
私の製作スタンスは全体的に「極力要素を少なく」なんですよ。
確かに2SecHeroで考えても、「ジャンプ」と「銃を撃つ」という
「アクションゲームでは当然のこと」以外には
「2秒戻る」しか要素がありませんよね。
逆に言えば、「2秒戻る」という要素ただ1つだけで
パズルゲームを作ったわけですね。
もしよろしければ、そのあたりの製作スタンスに関して
聞かせて頂いてよろしいですか?
2SecHeroから大きく外れるので、細かい話はしませんが、
今の製作者さんは「足すこと」に関しては
とても素晴らしいと思うんです。
つまり、「この要素を足そう」「じゃあこの要素も入れよう」と
足し算で製作する方が多いということですね。
はい。しかも非常に高水準に足せる方が多くて、
その点では非常に尊敬しているのですが、
一方で「引くこと」が出来る作者さんは
あまり多くないという印象なんです。
先程の例で言うならば、「この要素は無くてもいい」「じゃあこの要素も不要だな」と
引き算で製作することですね。
あらかじめ考えていた要素を減らす作者さんはいますが、
ほとんどが「難易度を下げるため」や「製作期間が間に合わないため」のような
「マイナス方向の引き算」の理由の方が多いですね。
そのような理由でなく、「本当に必要なもの」だけを付けて、
残りは切り捨てるという「プラス方向の引き算」がしたいんです。
すなわち、「足せる人は多いから、自分は引ける人になりたい」と。
はい。
それでは、「プラス方向の引き算」をすることによる
メリットって何だと思いますか?
一番は「わかりやすい」ことですね。
要素が少ないということは、1つのことに集中できる
ということですからね。
あと、これは感覚的な話になってしまいますが、
「ルールが平等であることをプレイヤーさんに示せる」ことも強みですね。
それはつまりどういうことなのでしょう?
うーん、言葉にするのが難しいのですが、
例えば野球というのは「走る人」と「投げるボール」という
明らかに有利不利がある2つをたくさんのルールで平等化しているわけですね。
確かに、「リード」や「盗塁」というのは「ボールより走る人のほうが遅い」という
前提のもとの「追加要素」ですよね。
不平等なニ者を平等にするために要素で矯正していくのですが、
逆に初めから平等であるルールであれば、
要素は少なくていいわけです。
つまり、「プラス方向の引き算」は
「要素で矯正しなくてもいいぐらい平等なルール」と
プレイヤーさんに指し示すことができるというわけなのですね。
はい。
深読みする物語
それでは、一番時間がかかったという
ゲームデザインとシナリオの話を聞きましょう。
とは言っても、ゲームデザインに時間がかかったのは
3秒戻るシステムを2秒にした結果作りなおした、という話なので
あまり特筆するものでもないですけどね。
もともと3秒向けに作られていたものを作りなおしてまで
2秒であることにこだわったわけですね。
そうですね。
それではシナリオに時間がかかったというのは
何故なのでしょう。
この話自体は表向きには「ヒーロー」と「モンスター」の話ですが、
ヒーロー自体は世界を救うわけじゃない、という微妙な立場を書いたものですからね。
その調整に何度か書きなおしました。
あえて微妙な存在にとどめて
立場を明言しなかったのには
何かの考えがあったのですか?
明言しなかったのは暗い話にしたくなかったのと、
パズルに集中したい方が多いだろうという判断ですね。
「Gravity」のときに痛感しました。
パズルにおいてはシナリオは無くていい、と?
無くてもいいではなく、後から内容を考えられる作りにして
プレイ中にはすんなり入るぐらいのほうがいいと思うんですよ。
「深読みする物語」ということですか?
はい。って「深読みさせること」を
明言しちゃうのもどうかと思いますが(笑)
例えばどんな深読みが
あったりするのですか?
えーと、ゲームスタート時に「Ready...」って文字と
時計のエフェクト出てきますよね。
ありましたね。
あの時計の針、ランダムじゃあないんですよ。
へえ。何の時刻を指しているんですか?
それは秘密で(笑)
はい(笑)
それでは本日はいい話を聞かせて頂いて
ありがとうございました。
はい。ありがとうございました。