管理人が訊く「オレん家カントリークラブ」
それでは、本日の「管理人が訊く」、
ウディタでは異色のフル3Dゴルフゲーム「オレん家カントリークラブ」について
聞いていきましょう。
はい、お願いします。
3D計算をちゃんとした3Dゲームが1つぐらいあっても
このゲームについてお話するとなれば、
まず最初に聞いておかねばならないのが
「3Dについて」でしょう。
まあ、そうなりますよね。
2Dゲームに特化して作られたウディタで3Dをやろうと思うこと自体、
かなり異色なことだと思いますからね。
はい。あの「ちょっと斜め上」の表現を出すために頑張りました。
何故3Dをウディタでやることにこだわったのかを、
はじめに聞かせて頂いてよろしいですか?
うーん、何故こだわったかと言えば……
意地だったのかもしれませんね……。
意地、とは?
今まで「ウディタで3D」といえば、
一人称視点のダンジョンRPGが主でしたよね。
「あたまの中のゆうしゃ様」のようなものですよね。
実のところ、ダンジョンRPGの一人称視点を3Dと呼ぶことに
ずっと違和感があったんです。
え?3Dじゃないんですか?
はい。厳密には、
「3Dの計算を一切してないダンジョンRPG」を
3Dと呼ぶことに抵抗があるんです。
3Dの計算を一切せずに3Dダンジョンが作れる、と。
作れるんです。
少し、そこに関して
詳しく聞かせて頂いてもよろしいですか?
ダンジョンRPGでも、壁の表示のために3Dの計算をする
必要があります。
ですが、一人称のダンジョンRPGは、この計算回数を
極限まで減らせる作りなんです。
「3Dダンジョン」というシステムでゲームを作ると
難しい3D計算が少なくて済むわけですね。
はい。3Dダンジョンの場合、
上手く作ればゲーム全体で十数回程度しか計算せずに済みます。
そこまで減らせるんですか!
十数回しか計算しないとなれば、
わざわざウディタで計算させる必要も無いんです。
十数回ならば、別な3Dツールなりで計算して
計算結果をウディタに入れておくのが一番合理的でしょうね。
はい。そういうことで
ウディタで3Dダンジョンと呼ばれているゲームの中でも、ウディタ内で
3D計算を一切していないゲームはかなり多いんです。
へぇ。計算せずとも
3D演出が出来るというのは意外です。
あとこれは作った後に気づいたのですが、
本当に3Dの計算を行った場合、むしろウディタと3Dダンジョンは相性が悪い
事も判明したんです。
え!?本当ですか?
はい。3Dの計算で一番使う演算子(※)って
何だと思いますか?
(※)演算子:足し算の+、割り算の÷などの、計算に使用する記号。
この場合は計算方法そのものを指す。
何でしょう?
計算方法によって微妙に違いますが、
実は、小数の掛け算なんです。
へぇ。
ですが、ウディタでは小数の掛け算はできませんよね。
はい。ですので整数で掛け算して
無理やり小数に「偽装」します。
ですが、この時どうしても計算誤差が出てしまうんですよ。
計算誤差が出ることと、3Dダンジョンが合わないことには
どんな関係があるのですか?
計算する物体との距離が近ければ近いほど、
許される計算誤差は小さくなるんですよ。
つまり、「遠くの壁の計算なら0.1ズレても影響はないけど、
目の前の壁の計算は0.0001ズレると大きく影響する」ということなんですね?
そうなんです。
そして、一人称の3Dダンジョンでは目の前に壁がある、という状況は
多々あるわけです。
すなわち、「本当にちゃんと3Dを計算するなら、
すべての壁と距離を置く必要がある」のですね。
そういえば、「オレん家カントリークラブ」では、少し空中に浮いて
斜めから部屋を見ていましたね。
はい。斜め上から見ることで、
目の前の物体とも多少の距離を置くことが出来ます。
すなわちこの視点は、
「本当に3D計算を行った場合、ウディタと一番相性の良い視点」
というわけなのです。
それは意外でした。つまり今の「ウディタ3D」の主流は
「ちゃんと3Dを計算したならむしろ一番相性が悪いはずの手法」と
いうことなんですね。
そこがずっと気にかかっていたのが、
この3Dを作った動機というわけです。
つまりあなたが3D計算を作ったのは、「3D計算をしていない偽物に
本物のウディタ3Dを見せてあげましょう」って事ですか(笑)
別に3Dの計算をしないことが悪いとは思わないですが、
3D計算をちゃんとした3Dゲームが1つぐらいあっても
いいんじゃないか、という気持ちで作りましたね。
なるほど。
ここまできたら、全部変えちゃおう
さて、ゲームの内容に入る前にずいぶん
時間を使ってしまいましたね(笑)
マニアック過ぎて
みなさんがもう読んでないのではないかと心配です。
それは大丈夫でしょう。
それでは、ゲームメインの話に移ります。
とは言え、あくまで単純なゴルフゲームですので、
あまり言及するところは無いのですが(笑)
いえいえ。「インドア」「マウス操作」など
単純なゴルフゲームとは一線を画していますよ。
「インドア」というのは、「せっかく3Dを作ったんだから、
起伏の激しい作りにしないと損だぞ」と思ったからですね。
つまり、3Dが先にあって、
インドアはそれに合わせた形なのですね。
はい。そして「インドア」ということが決まったら
残りも順番に決まっていきましたね。
一般的なゴルフにおける障害物は「池や木」ですが、
部屋の中にはどちらもありませんから。
それで「コーラ」と「ジャンプ台」と。
でも一般的な部屋の中にジャンプ台はありませんよ(笑)
部屋といえば四方を壁に囲まれてますから、
そこを跳ねまわったほうが面白そうじゃないですか。
確かに、OB(※)のある屋外ゴルフでは
ジャンプ台なんて何の意味もありませんからね。
(※)OB:ゴルフでボールがコースの外に出て行くこと。1打ぶんのペナルティをうける。
はい。
それでは「マウス操作」に関しては
どのように決まったのでしょう。
ここまで屋外ゴルフと違うものを作ったのなら、
いっそ操作方法も変えちゃおうかとなりまして。
それで「マウス操作」になったのですね。
それに元々、「スポーツをボタンで操作する」という
考え方も気に食わなかったんです。
「3Dダンジョンを3Dと呼ぶこと」のほかに「スポーツをボタンでやる」ことも
否定的だったんですか(笑)
まあそうなりますね(笑)
ここまできたら、全部変えちゃおう、と。
つまり、このゲームは、ぽりさんの
「アンチテーゼ」のゲームだ、と。
結果的には、そんな感じです。
いや、本日はいい話を聞かせて頂いて
ありがとうございました。
はい。ありがとうございました。