第10回 WOLF RPGエディターコンテストぽり視点レビュー


こんにちは。ぽり0655です。
さて、今年も恒例のウディタオンリーのコンテスト、「WOLF RPGエディターコンテスト」が開催されました。
今年も昨年同様、「作者さんへ向けた指摘」と「プレイヤーさんへ向けたゲーム紹介」の二方向からレビューを構成していきます。

上の画像をクリックして「ネタバレフィルター」をONにすると、レビューページから「作品の問題点」「改善提案」、更に褒め言葉であっても「ネタバレ部分」が非表示になります。つまりゲームへのDLリンクとその紹介文だけになります。
これからプレイする方が批判点に惑わされずに作品を選ぶ参考になってくれれば。

記号の読み方

プレイメモには、以下の記号が使われています。

作品の良かったところ

作品の気になったところ、悪かったところ(現在表示されていません)

気になるところの改善案(現在表示されていません)

※ゲームのバージョンによっては、このレビューで指摘した内容が既に修正済みである可能性もあります。
もし、このレビューに関してご意見ありましたらtc_porik(あっとまーく)yahoo.co.jpまで。

001:AN EARTH2 ~3つの地球と未来ドロボウ~

ジャンル:ゼッタイヤバイRPG

プレイ時間:10時間(本編5分)

レビュー時点のバージョン:7/22公開版



おとなもこどももおねーさんもセーフとアウトの境界線をブレーキ壊して突っ走る、エンディングまで止まるんじゃない、な作品。


プレイした率直な感想として「今回パロディネタの依存度高くない?」と思った。自分としては元ネタもたくさん知ってたから楽しかったんだけど、多種多様な元ネタを知らないでプレイした人がいたとして、やっぱり楽しんで遊べるのだろうか?という心配はしてしまった。<???>


もちろん方向性としてこのまま行くのも作戦としてアリ。とは言え、きちんと「ネタに依存しなくてもやっていける」技術は持っておかないとダメだよ。そうしないといつの日か「ネタ切れの恐怖」と戦いながらゲーム作りしていくハメになる。 <???>


002:とめさんのお宿にて~ほのぼの日常編~

ジャンル:メスケモノベルゲーム

プレイ時間:15~30分

レビュー時点のバージョン:Ver1.00



嵐のようにネタがブッこまれて嵐のように過ぎ去っていく濃密な時間を過ごせる出来。そもそも冷静に考えると「なんの説明もなく登場キャラ全員ケモい」時点でかなりのインパクトなわけで、それを当たり前のように通り過ぎてさらにネタをブッこんでくるあたりは「界隈が築き上げてきた歴史の深さ」を気軽に放出できるお祭りゲーならでは。


なんというか、「コンテストという枠にはめて評価しようとしたときに反応に困る」タイプのゲーム。各キャラの元ゲームだとか元の設定だとかはコンテストの趣旨から外れるので除外して考えると、残るのは「音量以外変更できない不親切なノベルゲー」と「応急手当で時間稼ぎしながら妖狐乱舞できるだけのSPを貯めるだけのRPG戦闘」だけだからね。<???>


他作品のお祭りゲー(しかも3/4ウディコン無関係)となると、どうしても「コンテストを宣伝の場にしてる不届き者」というマイナス評価からのスタートになることは避けられないわけで、その評価を覆すほどの「ゲームの面白さ」「お祭り感」を盛り上げる事こそ、お祭りゲーディレクターの使命だし、人様のキャラクターを預かるということの恐ろしさなんだと思う。<???>


003:ケモノ勇者がケモノ魔王の手下にお仕置きされる話

ジャンル:ドMケモナー向けRPG

プレイ時間:1時間~2時間

レビュー時点のバージョン:Ver.20180731A



ウディタの基本戦闘システムをあそこまで改造してオリジナルのルールに仕立て上げた努力は素晴らしい。それが(今のところ)バグなしでしっかり動くのも頑張った証拠。1から作るよりむしろ大変だったりするからね。「人の作ったシステムをバグを起こさず改造する」って。


前回は「TRPGっぽさばっかりでゲームっぽさそっちのけ」という感想だったけど、今回はそのTRPGっぽさも無い「なんでもない何か」状態だったのが残念。あれだけ形態素ルール選択させておいてイベントごとに一言二言しかしゃべらない(しかもほぼ定型文)とかそりゃないよ。<???>


多少なりとも「TRPGっぽい」を出したいのなら必要なのは「文章量」と「選択肢分岐」じゃないかな。イベントの文章量は各イベントにつきあと原稿用紙2枚分足りない。分岐は少なくとも100は足りない。逆に3Dマップ(というか歩く要素)は全くいらない。「君はTRPGの何をしたくてゲームを作っているのか」が知りたいなあ。 <???>


007:クリッターズ

ジャンル:ロールプレイング・アドベンチャー

プレイ時間:1時間~

レビュー時点のバージョン:Ver.180723



中身を見たわけじゃないから推測なんだけど、画面スクロールとラグのあるNPCオブジェクトとか移動中にアニメーションの止まるマップとか実装してるってことは、恐らくウディタ標準のマップ機能使わずにゲーム内の全てをピクチャとかで再現してるんじゃないかな?もしそうだとしたら、「レトロゲームの挙動を再現するために1から作ることを惜しまない」力作だと思う。


惜しかったのがシナリオ。OPで使命を受けて冒険が始まるわけだけど、その後しばらく使命と全く無関係のおつかいが続くせいで、「自分は何のためにこの洞窟を攻略しに行くんだっけ?」みたいに迷走していく。<???>


必ずOPに関係あるイベントだらけにしなくちゃダメ、ってワケじゃないけど、目的を見失わないようにするための「メインクエスト」は必要かもね。<???>


008:きみのかんじょーいれないで

ジャンル:雰囲気ノベルRPG

プレイ時間:5分

レビュー時点のバージョン:7/22公開版



短いながら、演出の細かさとテクニックに感動した作品。特にウディタのセーブデータ処理の裏をついた「おまけ部屋」については実装方法に気づいた瞬間に素で大声出しちゃった。


ただ、正直なことを言うとシナリオに消化不良感が残る。本編が「特に何も解決せずにハッピーエンドでもバッドエンドでもないエンディングを迎えた」感だったから、おまけ部屋の作者コメントの思惑が達成できたかどうかって言うと、うーん、って感じ。<???>


たぶん、内容が悪かったというよりは純粋にゲームが短くて語り足りなかったことが原因なんだと思う。これがあと10分ぐらいプレイ時間が長くて、もうすこし輪郭がハッキリした作品であったならば、また評価も変わってきたんじゃないかな。<???>


011:コトダマッスル

ジャンル:筋肉と言葉で紡ぐタイピングゲーム

プレイ時間:30分~1.5時間程度

レビュー時点のバージョン:Ver1.02



シナリオ、システムのりょウホう共に良質な「コトダマ」だったし、良質な「マッスル」だった。しかもちゃんと「コトダマである意味」「マッスルである意味」を持ちながら統一感を失わずに最後まで締めていた。タイピングゲームとしては限りなく「完璧」に近い正解なのでは?


内容が完璧だからこそほんの僅かな箇所が気になっちゃう。例えば「ミスを厭わず高速タイピングするよりタイピングスピードを落としてミスせず入力を行ウホうが高得点なので爽快感がない」とか「毎回イベントが挟まるせいで集中力が途切れる」とかね。<???>


とは言え、前者は「これはそういうものだから」と割り切ってじょウホすることも可能だと思うし、後者だって「かといってイベント全スキップだと味気ないし」という見方もできる。ここを対応するか否か、対応するとしてどのようにやるかは作者さんの思想次第でいいと思うな。<???>


012:魔女の塔

ジャンル:SFノベルアドベンチャー

プレイ時間:20分前後

レビュー時点のバージョン:7/22公開版



最初、よくわからないうちにゲームが始まってよくわからないうちに終わったのを見て、「ははーん、これは未熟な作者さんのやつなのかな?」とか思ってしまった。でもそこからのシナリオを見た途端、リバーシのように全てがひっくり返る音がして一気にゲームに引き込まれていった。「魅せ方」の天才。


とは言え、メインのゲームが「特にストーリーとの関連が見られないアイコンの連打」っていうのは気になった。もうちょっとシナリオと繋がった上手いやり方があったんじゃないかなあ。<???>


「トライアルアンドエラー」「地球の歴史シミュレータ」を活かしつつゲーム性を持たせるとしたら、例えば「歴史の各場面で選択肢が出てきて正解すると時代を進められる運ゲー」とかどうだろう。これなら、「正解パターンを見つけるために何回もリセットする行為」がシナリオとうまくリンクするし、「ゲーム開始後一発で全問正解したらシリンダーの使われない違う未来が待っている」なんていう2周目要素にも繋げられる。<???>


ショートヘアの魔女ってさ、設定メモとEDから考える限り、「ものすごく偉い立場の人でありながら年上の助手をからかうためだけに自らを魔女と呼んでいる<ネタバレ!>」んだよね?なんかすごいギャップがクルね(*´Д`*)


014:ポケットタッキュウ

ジャンル:カードバトルゲーム

プレイ時間:30分~1時間

レビュー時点のバージョン:Ver1.10



「卓球っぽさ」の再現度がかなり高い、すごく練られたルールだと思う。ルールに沿ってカードを出していくだけで「ドライブ」→「スマッシュ」→「ブロック」→「ロビング」→「スマッシュ」とかいかにもそれっぽい試合展開が続いていく。


ブラックボックス要素が多すぎる。どのぐらいカードのステータスが補正されているかが推定できないから、いちいちカードを右クリックしないと情報がわからないし、最終攻撃力は右クリックの情報から更に補正されたものになるから、結局の所打ってみるまで成功するかどうか分からない。<???>


「打ってみるまで結局わからない」というのもそれはそれで卓球っぽいんだけど、少なくともカードゲームっぽくはないかな。「最終攻撃力値をカードマウスオーバーで表示する」とか「どのステータスが起因してどれだけ補正がかかっているか全部明示する」とかやってみるのが「卓球っぽさ」と「カードゲームっぽさ」を両立させる折衷案になるのかな。<???>


018:IMON ~Other Worlds' Story~

ジャンル:色とりどりな異世界を巡るアクションゲーム

プレイ時間:1〜4時間

レビュー時点のバージョン:Ver1.01



いい意味で発想がぶっ飛んでる。キャラスケール完全無視の大アクションがいきなり始まったとき度肝を抜かれた。そのシステムをそのまま異門建築システムに使ってるのを見たとき更に度肝を抜かれた。


ただ、悪い意味でも発想がぶっ飛んでる。シナリオも2マスワープされてるのかってぐらい突然の展開が多いし、マップの通行設定もアクションの動作も不安定で話の進行に手間がかかる。<???>


とは言え、そのぶっ飛び方に「磨けば光る原石」みたいなものは感じたので、これからも同じ方向性で頑張ってほしいと思います。<???>


019:ハイスandカルト

ジャンル:初心者向けのシューティングゲーム

プレイ時間:1プレイ10分前後

レビュー時点のバージョン:Ver1.01



物量頼みではなく演出で爽快感を感じさせるシューティングは初めてかも。背景もモンスターも目まぐるしく変わっていく中、ひたすらに自機を切り替えて行くのが楽しい。更にBGMの演出も合わさって、目・耳・指の3つで爽快感を得られる良作。


ひとつだけ惜しいのはテンションゲージの存在意義。攻撃力とライフ回復速度が上がるみたいだけど、プレイしてて実感できるほど違いを感じなかったし、そもそもこの2つの特典は「テンションゲージを上げられないような人」にこそ必要なものなんじゃないかな。<???>


「テンションゲージは誰向けの機能にするか?」という方向性を考えてみると、もっと存在意義がある機能にできたのかな、と思います。例えば「初心者さん向け」にするならゲージの上げ方を「時間経過で上がる。HPの残りが少ないほど早く上がる」とかにするといいし、「上級者さん向け」にするなら「テンションゲージはあくまでスコアのみ影響。攻撃力とライフUP手段は別途用意」とかがいいのかな。<???>


021:My VitrioL

ジャンル:RPG

プレイ時間:2~3時間

レビュー時点のバージョン:Ver1.0



シナリオ、特に各登場人物の心情描写に力が入っていて、RPGというよりは舞台劇を見ている気分だった。プレイ後にはとても良い群像劇を見たような晴れやかな気分だった。


気になったのは「レベル上げとか稼ぎ作業前提の難易度の上がり方なのにすごくレベル上げし辛い」こと。少し街から離れただけでいきなり敵が強くなることが多かったり、回復場所への後戻りが唐突に出来なくなるシーンが多々あったりするとモヤモヤする。<???>


これは極論かもしれないけど、あくまで「シナリオ」を楽しんでもらいたいなら、いっそのことレベル固定にして雑魚戦無くしたって良いワケ。「自分の一番見せたいもの」「見せたいものの邪魔となりうるもの」「見せたいものを補強しうるもの」みたいな要素の棚卸しはあっても良いかも。<???>


026:すっぽんクエスト

ジャンル:終末SFADV

プレイ時間:7時間~

レビュー時点のバージョン:Ver1.09



なんだろう、プレイしてて「言葉で言い表せられないときめきのようなもの」を感じずにはいられなかった。「マップと一枚絵のこだわり」にゲテモノとほっこりをコーティングしてシリアスとメタネタに漬け込んでシモネタをまぶして丁寧に揚げたようなハイカロリーの一品。


ただ、「説明過多」と「面倒な手間」が多いのでストレスが溜まる一品なのが弱点かな。いちいちヤールに「ミオの父」なんて注釈しつこいし、セーブポイントはもうちょっと多くたっていいと思うし、会話で150年後の文化の違いを全部解説されるせいでテンポが悪いのも気になる。<???>


正直メニューに「あらすじ」を入れるよりも「用語辞典」を入れていたほうが親切かも、って思います。そうすれば人物関係も150年後の独特な文化もいちいち全部説明しなくてすんでスマートだったんじゃないかな。<???>


027:AnimalCurling

ジャンル:カーリングゲーム

プレイ時間:2~5時間

レビュー時点のバージョン:Ver1.00



カーリングを再現するための物理演算が素晴らしい。はじかれたストーンがきちんと回転して飛んでいくなど細かい部分までこだわりの見える作品。相手側のAIもきちんと考えて最適な手段を講じてくるなど、技術力は確か。それでいて時事ネタなので話題性も確かという良作。


時事ネタとして扱うために急いだ結果かもしれないけど、細かい所の粗が多い。初期状態でカーブなので毎回ホイールを回さないといけないところや、1ゲームが長いのに途中セーブできないところ、再開時にイベントから始まるから何度も読み進めなくちゃいけないところとか。<???>


時事ネタだからこそ「やりこんでくれる人がいるかどうか」という点は大切。一瞬話題になってすぐ忘れ去られることのないように、「長く遊び続けてもらうために必要なことはなにか」を気にして作ってみるといいんじゃないかな。<???>


028:PLAGUE HEAD2 ~明かされる真実~

ジャンル:アーケードゲーム風ホラーアクション

プレイ時間:15~30分程度

レビュー時点のバージョン:Ver1.02



ジャパニーズホラー特有の「出そうな雰囲気」でずっと焦らされる。びっくり要素がほとんど無いのにずっと緊張感が続く不思議な作品。


とは言え、「出そうな雰囲気で全然出ない」上に「いざ出たらいつの間にかやられてる」なルールが悪い相乗効果を生んで、「ホラーゲーム」というよりは「遊んでる途中で突然中断する探索ゲーム」と化している。<???>


ホラーゲームとして考えた場合、このゲームに足りないのは「逃げる」だと思うんですよ。せっかく広いマップがあって、せっかくマップ全部探索するんだから、「追いかける」「逃げる」要素はあっていいんじゃないかなあ。<???>


032:G

ジャンル:RPG

プレイ時間:1~2時間

レビュー時点のバージョン:7/24公開版



グンマーとかシスコンとかネタ自体は偏ってるけど、RPGそのものに関して言えば素晴らしく「素直」。奇をてらわずにずっと素直な進行だから、プレイの止め時を見失う魅力がある。


敵の強さとか相談コマンドの無駄さとか言いたいことはいろいろあるけど、特に一番言いたいのは「全然グンマーっぽくないし全然群馬っぽくない」こと。グンマー村が海に面してる事とか、沼田の魔王城横にあるたった4マスのグンマー大橋とか。<???>


「ご当地自虐ネタ」っていうかなり強力な武器を使ってるんだから、活かさないのは損だよ。例えば海に面していることに関しても、「やっぱ海ってサイコーだよな!海無し県とかダッセーよな!」とか言うNPCが一人いるだけでグッと魅力が増すと思うんだ。<???>


034:Quiz world maze

ジャンル:迷路RPG

プレイ時間:5~10分

レビュー時点のバージョン:Ver1.01



「ウディタの使い方を勉強するために作った作品」として見ると、かなりお利口さんな作品。マップの描き方も丁寧だし、最初のクイズの「2問中どっちか1問正解すればいい」というテクニックは将来に繋がるとても大きな第一歩。


「レビュー時点のバージョン」を見て察してくれる方がいるかもしれないけど、このバージョンは「スタートから3MAP目で100%進行不能になるバグ有り」バージョン。つまり、このゲームに対するぽりの評価は「プレイ開始後2分半で遊べなくなるゲーム」ただそれだけ。<???>


もちろんそれじゃあんまりなんで、後々バグ修正版が出たら遊ぼうと思うけど、少なくともレビューとしての評価は上の通り。そして「最新版を遊ぶ義務はない」というコンテストのルール上、ぽりと全く同じ評価の人は何十人もいるワケだ。そう考えると、「バグ」というものの恐ろしさを感じられた有意義な機会だったんじゃないかな。<???>


037:ディアボロスフォビア

ジャンル:RPG

プレイ時間:目安5時間

レビュー時点のバージョン:Ver1.08



グラフィック・サウンド・シナリオ・とっつきやすさ・難易度調整……どの点をとってもスキのない優等生タイプの作品だと思う。だからこそ気がつくと時間を忘れているほど熱中できる。


ただ、「面倒な手間の多さ」が唯一の弱点。いちいちNPCと会話するたびに出てくる選択肢とか、たくさんの敵と戦う必要があるのに毎回エンカウント時に演出が入るせいでテンポが悪かったりとか。<???>


特に面倒なのは前者の会話選択肢。この選択肢が役立つ場面って「間違えてNPCの前で決定キーを押してしまったので『カーソルキーに指を伸ばす』という一手間をかけてでも会話を回避したいとき」ってことだよね。そんな場面あるかな?あったとしてそれは選択肢を実装する必要があるほどクリティカルな部分なのかな?そのあたりの事を考えてみてほしい。<???>


038:100層洞窟

ジャンル:探索RPG

プレイ時間:3~4時間

レビュー時点のバージョン:7/26公開版



何もイベントのない、代わり映えもあまりしないマップをただ歩いて戦闘するだけ……のはずなのに何故か悔しいほど楽しい。「バランス調整」というただ一点のみの中央突破でここまで人を楽しませることができるというのが目からウロコだし、ゲーム制作者として考えさせられる内容だった。


ひとつだけ気になったのは「あと何層でボス階層なのか数えるの面倒くさい」ってこと。多少なりともボス前にレベル上げ作業は必要なわけで、階層の数え間違いでレベル上げせずにボスに突っ込んでしまったとき悲しくなる。<???>


一目見て「ここにボスがいる!」って分かるようなマップデザインだったり、「この先にボスがいる」って書いてある看板のようなものがあったら良かったなあ。<???>


044:ウルファールライヒの栄光

ジャンル:戦略SLG

プレイ時間:12時間~20時間

レビュー時点のバージョン:Ver1.10



ヘクスマップのSLGもそうだし、相手のAIの割と頭のいい感じもそうだけど、プレイしてて全くウディタっぽさを感じなかった。


弾薬と燃料は遠征地でも増やせるけど、肝心のHPとなるユニットの機数がHQと工場(あと空港)でしか増やせないせいで手間かな。2ユニットを合流させるシステムもあるとは言え、トータルで増やすためにはマップ端の工場で生産して前線に持っていかなくちゃいけないから、「ユニットが大量に集まるまで何もせず、ある程度たまったら物量押し」が唯一の戦法になる。<???>


個人的には「占領した都市で待機するだけで少しずつ機数が増える」とかの「前線でも戦闘中以外なら立て直せる」要素が欲しい。都市で機数が増える仕様にしておけば「生産したユニットが前線に届くまで何もできない膠着状態」というのがなくなるし、多少無理をしてでも都市を占領することに意味が生じてくるということで戦略も出てくるからね。<???>


046:出口を探そう!

ジャンル:探索RPG

プレイ時間:20分程度

レビュー時点のバージョン:Ver1.00



パッとネタが現れてパッと消えていってすぐに次がやってきて……というショートコントみたいな感じのミニゲーム集でした。箸休めにちょうどいい3分間。


とは言え、この中で「出口探し」というテーマに合ったステージって2番目と4番目だけだよね。残りはは単なるなぞなぞと単なるいじわる。<???>


ぼくは「出口を探したい」のであって、四角形の大きさを比べたいわけでも左下から34歩歩きたいわけでもないんだよなあ。「このゲームでみんなに何をしてほしい?」ということはちゃんと考えてあげて。<???>


049:パティシエになるのだ!

ジャンル:ケーキを作ったり売ったりするゲーム

プレイ時間:30分程度

レビュー時点のバージョン:Ver1.10



経営ゲームとは言え、気にするのは資金と体力と流行ぐらいでいいという気軽さのおかげで、ついつい何度もプレイしてしまう魅力がある。


惜しかったのはシステムの抜け道の多さかな。コンテストの賞金を資本にHP回復を酒場に依存して探索しまくって素材レベル上げてると1回も店に立つことなく1年目の11月には一番上のランクすら突破できちゃう。<???>


バランスブレイクの原因は「店の営業をするメリットの無さ」と「流行より重視される素材レベル」あたりかな。探索だけしてたらクリアしましたみたいな事態を防ぐためにも、「実際に店に立たないと流行が見えない」とか「メニューの総売上金額もコンテストの成績に反映される」とか「流行遅れだと露骨にコンテストの成績が下がる」だとか、各要素を密接に結びつけるシステムが欲しいところ。<???>


050:レガシアの洞窟

ジャンル:洞窟で迷子になって全滅におびえるRPG

プレイ時間:6時間以上

レビュー時点のバージョン:Ver1.22



レトロゲーの枠をも超えた「オールドゲー」とも言えそうな雰囲気の古さが斬新。平成最後の年にここまで時代を逆行した作品に出会えるというのが素敵。


なんというか、「ずっとピンとこない感じ」というのがプレイ中の正直な感想。アイテムの用語も名前と効能がほとんど頭の中で繋げられなくてピンとこないし、マップも上下ループする上に隠し通路ばっかりで方向感覚をメチャクチャにされるせいで今どこにいるか全然ピンとこない。<???>


個人的には、アイテムの種類の多さにもダンジョンのループ機構にもオールドゲーっぽさって感じないんだよね。ゲームの短所となり得る上に、長所である「オールドゲーム」の軸もブレさせてるとなれば、無理に実装する必要のなかった機能なんじゃないかな。<???>


051:ドラゴンナイト伝説

ジャンル:アクションゲーム?的なもの

プレイ時間:3分

レビュー時点のバージョン:7/28公開版



珍妙な1分間だった、と言わざるを得ない。何を言ってもネタバレというレビュアー殺しの内容ではあるけど、とにかくコスパ良く感情を引き出すことには成功した珍妙な作品。


「お願いだからコンテストと関係ないところでやってくれ」というのが正直な感想。評価しようとした瞬間つまんなくなるやつだからね、これ。<???>


と言っても「コンテストで敢えてやる」というのも含めた盛大なネタ振りだと言えないこともないし……うーむ難しい。<???>


055:メツァルナ

ジャンル:探索型2Dアクション

プレイ時間:4~7時間+y

レビュー時点のバージョン:Ver1.08



:え……これ本当に全部ウディタで1から作ったの……?「立ち絵・キャラ・敵のモーフィング処理」「視界処理」「星座パズルの星座発見処理」各要素全て「ウディタで1から組んだとすればとてつもない労力」のはずで、それを何気なく実装しているあたりに恐怖にも似た驚きを感じる。


「思ったとおりの動作をさせてくれない小さなイライラが大量にたまって大きな1つのイライラと化していく」という体験をしてしまう作り。「マウスで移動&ジャンプという慣れない動作の強要」→「しかもキー反応が悪くて頻繁に入力無視される」→「しかも敵が華麗にコンボを決めてくる」→「しかも崖際の敵が的確に崖の外へふっとばしてくる」→「しかもこっちは空中技が無いので平らな場所まで逃げてパズル技を使うだけ」→「しかもゲーム中左右移動ボタンである【A】【D】がパズル中左右斜め移動になるせいで混乱する」→「しかも全ての敵のHPが高いので長期戦となる」とかの、1つ1つならそれほど大きくない不満点が連鎖的に起きている。<???>


ここまでの技術力がある作者さんなら、わざわざ自分が対策を書かなくたって、各要素のイライラを減らす方法は気づけるはずだ。つまりこのゲームは「イライラを見つけて潰すプロセスの不足」、すなわち「デバック時間の不足」が唯一の欠点だったんじゃないかな。<???>


057:エウレカ・クラン

ジャンル:コマンド選択型ノンフィールドサイドビューRPG

プレイ時間:2~5時間

レビュー時点のバージョン:Ver1.12



アニメーション1つとっても非常に手が込んでいる。ちょっとした会話イベントの立ち絵表情差分から、戦闘中のキャラチップ差分まで、かなりのキャラクター画像を作ってると思うと感動する。


ノーツ出現率、敏捷値による行動順補正と行動順によるダメージ補正等々、管理しなくちゃいけない要素が多すぎる。しかも全部「管理すると有利になる」要素じゃなくて「管理しないと不利になる」要素だから少しプレイするだけでどんどん精神力が減っていく。<???>


自分ならノーツをよく使うことで増減するのは「出現率」じゃなくて「ダメージ補正値 or 命中率補正値」にするかな。だってこっちのほうが「よく使うことで型が身についた」という表現になるし、「ここ一番の必殺技にしたいからよく使う」という想定しているプレイスタイルをすんなり受け入れさせることができるからね。こんな風に「この機能はプレイヤーさんにどう思ってほしくてつけた機能なのか」ということから逆算で機能を実装するのもアリなんじゃないかな。<???>