第4回WOLF RPGエディターコンテストレビュー1〜30
第4回WOLF RPGエディターコンテストの作品をプレイしていて思ったことをレビューします。
※レビュー内の記号の意味についてはトップページを御覧ください
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【No.31】〜【No.60】
【No.61】〜【No.74】
★01 Wraith
今日も元気に凸砂ヒャッハー!
直前に商業FPSをやった後にこのゲームをプレイしたのですが、そのまま違和感なくすんなりとプレイできた
「あってほしい機能の完備」っぷりがこのゲームのウリだと思います。
俯瞰型のガンシューティングとしては、もはや完成されたと言っても過言じゃないぐらいのシステムの完成度に
ただただびっくりするばかり。システムとグラフィックに関しては、全く文句をいう場所がありません。
だからこそ気になってしまったのがシナリオ。作者さん十八番の百合要素が今作も満載でしたが、
今回は流石に露骨すぎて、「SFのダークな雰囲気」も「百合の奥ゆかしさ」も中途半端に壊してしまっていたのが惜しかったかな。
あと、これはゲームと直接関係ない部分ですが、等幅フォントじゃないとマトモに見られないテキストが唯一のマニュアルってのは
地味にユーザーさんのハードルが高い部分だと思うので、画像化されたマニュアルも入れて欲しかったなあ。
★02 名無き旅路
放浪ロールプレイング。そんな肩書きの似合いそうな、いい意味で「何もしない」テイストというのが新感覚です。
いろんな名前の装備を集めて合成して、強くなった装備で敵を倒して装備を集めて……という、
無駄な要素が一切介入しないシンプルさは好きな人も多いのではないでしょうか。
残念だったのは「ロールバックの頻度と長さ」。
戦闘がほぼ運ゲーであること自体は大きな問題ではありませんが、それで負けた場合に(例え直前でセーブしていたとしても)
探索度0まで戻されるという要素が重なると、戦闘の際の精神的ダメージがかなり大きくなります。
負けることがままあるデザインだからこそ、負けた時のフォローもきちんと入れて欲しかったです。
◆03 しんせーなる世界にちょうせんっ! その3
○ADVというより、ゲームブック的な展開
×目的を常時見失ったままになりやすい
└画面上に常に「目的」を表示してたら良かったかも
×テキストログがニューゲームからの全テキスト残るようになってて、(もしくは保存テキスト量が極端に多くて)中盤以降重くて重くて
★04 百万迷宮
職業・固有イベント・パーティカスタム・クエストなどのダンジョン進行型RPGによくある要素を揃え、しかもそれぞれが高水準な
綺麗にまとまったRPGだと思います。
しかも、条件付きで戦闘後自動回復ができる「エナジーパック」という要素の存在が非常に便利。
ゲームのイライラ部分を排除し、かつヌルゲーにはしない絶妙なバランスを作り出しています。
ただ1つだけ気になったのが、クエストが同時に1つしか受けられなくて毎回ギルドを往復しなくてはならないところ。
ダンジョン進行型のRPGは拠点の街にいる時間が非常に短いため、この要素がテンポを悪くしている気がします。
複数クエストを同時に受けられるようにするか、もしくはダンジョン中でもメニューからクエスト受諾・報告可能とかだといいかも。
★05 TWINGATE
テキストや戦闘中のカーソルなど、ちょっとのところでもアニメーションを入れる努力は素晴らしいです。また、キャラメイクで性格や一人称をいじってプレイヤーに愛着を持たせる発想も面白いです。
必然的に同じ事を何度も行うダンジョンRPGだからこそ、こういうちょっとしたところも手が込んでいると見ていて楽しいものです。
個人的に気になったのは、キャラ特性のメイキング・パネル・装備と、同じ目的(キャラの特徴を引き出して戦闘で役割分担)へ向かっている要素が3つもあるせいで、なんか全体的にごっちゃりしてるイメージがあったことでしょうか。正直最初のキャラメイクと装備の持つ役目って全部パネルに統合してそのぶんパネルの拡張性広げるという選択肢もじゅうぶんアリだったんじゃないでしょうか。
★06 灰かぶりの夜
「スニークしてCQCするシンデレラ」という言葉だけ見たら不可解なコンセプトを違和感なくくっつけたのは面白いところ。
スパっと楽しんでスパっと終わらせるゲームとしてはピッタリなシンプルさがいいと思います。
視覚+知覚の概念という発想は面白いのですが、今のシステムだとセーフ・アウトの境界線が不明で
「どうみても見つかった」「どうみても見つかってない」系統のストレスがかなり大きいのが難点。
すぐ終わるゲームだから今回においてはまだ問題ではありませんが、もし今後このシステムで中編長編を作るならば
その部分をもうちょっと考えないとプレイ意欲が続かないかも。
◆07 輪廻転生 Rein Carnation
○特殊な要素もなく、難易度も難しくないので気楽にプレイできる。いい意味で「普通」。
×どうやっても会話できない位置にキャラがいたり話しても返事のないキャラクターがいたけど水増し?
└個人的には水増しするぐらいならいないほうが精神衛生上良いなあ(すべての人とひととおり会話できないとイラッと来る)
◆08 ヒトガタノカタチ1.5
○ADVパート+STGパートのメリハリがいい お互いがお互いのシナリオを強く支えあってる
×敵グラも弾グラも小さくて当たり判定画面通りだから針穴の糸通ししてる気分
└「重力」っていう移動制限要素が付いてるのだから、「これはヌルすぎない?」ぐらいまで当たり判定でっかくしても影響ないかも。
★09 Princess Saviour
UIが変わっていたり新グラフィックが追加されていたり、昨年の体験版の時点で既にあった場所も大幅に作りなおされていたところに感心しました。
体験版をプレイ済みということで、斬新なイメージは強くは感じませんが、今度は安定感を感じる出来だと思います。
ただ、プレイ中気になったのは「なんだか異常に『ッ!!』って表現多くない?」ってこと。それが作品の味、って見方もできますが、アイテムを手に入れた時とかのシステムメッセージにまで乱用しているのはどっちかというと全体を安っぽく見せてる側面のほうが大きいかな、って感じます。
★10 地底Aの財宝
戦闘"のみ"に重きをおいたゲームとしてのチューンナップ具合はなかなか。だからといって
無駄に難しい要素をくっつけた訳でもないので、一般の人でもそこまでハードルが高くないデザインになっているのが好みです。
シナリオもなく、ハッキリ言っちゃうとこのゲームに華は無いのですが、かと言って文句をいう場所も特になく、
いい意味で「ストイック」な出来になっているんじゃないかと思います。
★11 アストロラーベ
絵本テイストでポップにプレイできるRPGです。ほとんどの装備がステータス増加よりオリジナルの戦闘コマンド目当てに手に入れるというデザインは斬新だと思います。
難易度もシナリオもお手軽で、基本的に詰まること無くサラサラっと次へ進んでいくことができるのですが、壺とタルがそれを邪魔していたのが残念。
最初の街で壺とタルの中にアイテムが入っていたために、他の街でもそれを信じて同じイベントを数十回見るハメになったところだけは勘弁して欲しかったです。
最初にユーザーさんに期待をもたせたときは、ちゃんと最後まで期待に応える事が大切だと思います。
★12 Wish Spring
どんどんレベルが上がっていくためにさほど難しくなくボスを倒せたり、ダンジョンも1キーで脱出できたり、いつでも気軽に行動できるのがいいところだと思います。
それに雪関連のエフェクトも凝っていて視覚的にも楽しめる作品です。
ですが、ダンジョン内は別段イベントもなく、ボスまでの数十階層にわたって単調に通るだけというのが残念なところでした。
せめて5階ごとにイベント階をはさむとかのプラス要素が欲しかったです。
◆13 Soul Steal〜Razlit Saga2
○多くても2MAPぐらいおきに拠点となる場所があるので、多少の無茶ならなんとか押しきれるデザイン。あとボイス付きってのもいいとこ
×武器の当たり判定が小さいので、(あくまで自分の腕によるものかもしれないけど)相打ち覚悟で突っ込むしか無い
└全武器の攻撃判定があと2マスぐらい広くてもいいんじゃないかな
★14 病原体
システマティックをとことん極めたようなシンプルUI・システムが好きです。
パズルといっても大半は見てるだけですので、ちまちま動く病原体がライフゲーム的な美しさを見せていると思います。
ただ、ルールが特殊なうえにチュートリアルもテキストのみで理解に時間がかかるため、序盤は「なんかよくわからないけど勝った」の連続だったのが気になりました。
最初のうちは手取り足取り教えてくれるチュートリアルステージが欲しかったです。
★15 赤瞳
色あせた雰囲気や画面効果が良く、ノイズ効果やHPで顔グラが変わるところなど、細部にこだわってる感じがありました。
謎解きも難しくなく、それでいて特徴を感じさせる出来だと思います。
ですが、ボス戦は正直「これを謎解きというには『俺ルール』が強すぎる」と感じました。
だって1層入り口に「火気厳禁」って書いてあるんだから普通1層ボスの弱点は「禍熱」だと思うじゃないですかー!
せめて、道中である程度詳細にボスの攻略法を匂わせてくれないと手も足も出ません。
◆16 闇遊び
○イベントのイの字がかろうじて感じられる、かな?ぐらいまで余分な要素をバッサリなくすコンセプト
×あまりにも同じ事の繰り返しすぎてこっちの業が深くなってしまいそう
└それが伝えたかったこと、というのなら否定はしませんが、システムが単なる「普通のRPGから用語を変えただけ」である以上、「ただの繰り返しなRPGだな」以外の感想は持てません。
◆17 ランゲーム(公式)
○荒削りだけど、センスは持ってると思う。イベントでマップが変わるところとか、テキストながらカウントダウンでプレイヤーに一呼吸おかせるところとか。
×「初めてプレイした人がどのぐらいの難しさに感じるか」をよく考えてみよう。たぶん今のままだと「作った人」しかおもしろく感じないよ。
└例えば、セーブを制限する理由は全くなかったよね?それがあるだけでもまだ幾分良くなると思う
★18 黄泉返し
びっくり系でもホラーでもないのにどこか不安にさせる雰囲気作りはGOOD。謎解きもそう難しいわけではないので、
あの「おばあちゃんの家がなぜだか怖かった子供時代」をふらっと思い出させてくれます。
気になったのは出しゃばりすぎな柳さん。最近ただでさえ多くてワンパターンなため食傷気味の「鬼から逃げる系」の上にあの登場頻度では胃もたれしてしまいそうで、多くのプレイヤーさんがそれを理由にプレイをやめてしまうのではないかと心配になりました。シナリオはなかなか好みなだけに本当に惜しい。
◆19 魔王の降臨
○ACTの挙動は作りこまれていると思う。(敵にぶつかってノックバックとかしなければ)ちゃんと狙ったところにジャンプできる。これ意外と大事。
×穴に落ちたら1回で最初からやり直し(なのに大穴いっぱい)&装備が2〜3ダメージで破壊(実質リセット宣告)など「わざと不便にすることによってプレイ時間を伸ばしている」節があると思う
└「プレイ時間の水増し」というのはゲームはもとより、作者さんの評価も下がったりで、長い目で見ると大きな機会損失があるから気をつけた方がいいですよ
◆20 ドキッ! 女だらけの雪山殺人事件
○キャラクターの背景も考えこまれてるし、素人の作者さんによくある「プレイヤーの理解を超えた言動・思考」などは一切ない。ミステリー小説としての没頭具合はかなり高水準。
<ここからネタバレ>
×ノックスだヴァン・ダインだ言うつもりはないけど、これをもって「フェア」というのは流石にアンフェアかな、と。
└3階の窓とか木登さんの一人称とかの伏線がもうちょっと深く掘り下げられていれば、まだこのオチでもアリだったかも。
<ここまでネタバレ>
★21 AYND -Another Chapter-
ほんわかかわいいテイストのRPGで、プレイ時間もそう長くなく、アイテム・魔法の戦略を練ればさらにそのプレイ時間がブーストするテンポの良さが理想的です。
本棚などちょっとしたイベントもあって、プレイ中はずっとリラックスした状態で楽しむことができました。
それ故に気になったのは無駄に広すぎるマップ。ダンジョンはまだ広くても割り切れますが、育成時のマップの大きさはテンポを悪くしていたのが残念。
全部のマップの大きさを今の4分の1ぐらいにしてもたぶんイベント密度的に問題はないと思われます。
◆22 スペース・シューティング
○「クイズの正解に飛び込め!」って発想は面白い。昔のテレビ番組を見てる気分で楽しかった。
×基本、敵が弾を撃ってこないので、キー押しっぱのまま動かなければクリアできる
└敵の処理が出来てるのなら、その派生で敵弾処理も簡単に出来たはずじゃないかな
★23 ぼくは勇者じゃないよ
レトロチックに作られたシステムとシナリオが良い雰囲気を演出していて、実際に昔発売されててもおかしくないだろうなと思いました。
ゲームのテンポこそ現在と比べたら遅いですが、これはこれで味としてはいいんじゃないかと思います。
……とは言っても、やっぱり不便なところまで当時を再現するというのも考えものなので、オプションでスピード変更可とかだとよりいっそう良かったんじゃないかと思います。
◆24 特殊諜報部隊HumanAlive2
○システムもシナリオもかなり大変そうな「のびハザ」形式のゲームに挑もうと思った意気込みを評価したい。長編ACTに挑戦する人あんまりいなかったしね。
×メタネタ多すぎてやる気が削がれる
└メタネタはよほど文章力がある人が書いたとかでない限り、読む人にとっては何も面白くない+雰囲気壊れるものだからいらないと思う
◆25 ウルファールの密室からの脱出
○「コンテスト」としての評価として不適なのは重々承知なんだけど、キーでイベントをトグルする発想とか、将来性のある作者さんだと思うよ。うん。
×まだ今は勉強して「面白いゲームを作るのに必要な知識」を知るべき期間かも。何の勉強かって?学校の勉強ふくめて何でも。
└5〜6年ぐらい勉強して、まだゲームを作りたいと思っていればその時がチャンス。個人的に絶対化けると思うんだよなぁ。
★26 タソトンナの暖ったか島
システムが年々向上していき、シナリオは毎年ブレずに我が道を突き進む作者さんの一貫性には、もはや尊敬を覚えるレベルです。
シュールを通り越した「ぱねぇゲームデザイン」にある種の麗しさすら感じます。
そのため人を選ぶゲームなのは間違いないのですが、ここまできたらいっそのことそのまま貫き通したほうが面白いんじゃないかな。
◆27 Different space of magic
○レベルアップすら任意のタイミングで行えるという「自分好みのPTチューンナップ」を追求できるゲームという感じがして面白い
×オリジナルの戦闘・育成システムに最初にいっきにたたき込まれる世界観説明、6つもある属性に加えて制限時間とか、頭がパンクしそう(というかした)
└少なくとも属性はもっと減らすべき&直感で分かるぐらい単純な単語にすべし。「王道モノ」が今日まで築き上げた「みんなが直感で理解できる要素・単語」という資産は有効活用してナンボよ
◆28 ソルトの左遷物語
○アクションで「シンプルイズベスト」っていうことはなかなかないけど、この作品に関してはハッキリそう言えると思う。
×回復ショートカットがあるのはありがたいんだけど、説明が不十分。途中までどのボタンを押せばいいかわからなくてセルフ縛り状態だった
└せめてギルド長の会話の「回復登録」の場面で押すキーも教えて欲しい。もしくはReadme。
★29 Express
ぶっ飛んだキャラにぶっ飛ぶゲームシステムがマッチしてて良い感じです。
全体に頭をひねる系パズルなのですが、リトライが1ボタンですぐできるため、1枚置いてデバッグして、その結果を元にまた1枚置いて……みたいな、
まるでゲーム作りしているような試行錯誤を味わえてGOOD。
気になったのは、途中で出てきた「重力反転」に終盤はほとんどすべての役目を持ってかれていたこと。途中で出てきた動物と同じ挙動の兵士(それがシナリオ上アレなら「王の放ったペット」とか)みたいなのが出てくれば「今までの知識総動員でラストをぶっ飛ぶ!」とか出来たのに惜しいなあ。
★30 ドラゴン=メモリアル world D
いろんな意味で完成度高けーなオイって感じのギャグが大好きです。
終始勢いだけでぶっ飛ばす展開とそれを何故か許してしまう空気に、商業だと絶対できない「個人が作るゲームの面白さの本質」を見たような気がします。
気になったところは突然操作がマウスになったり突然戦闘の難易度が上がったりしたところ。でもこれすらキャラに叫ばせて1ネタとして昇華すればなんかアリなんじゃないかと思えてしまいます。とてつもなく恐ろしいポテンシャルを秘めた作品だと思います。あと個人的にドラゴン=チルドレンちゃんがかわいいのでその意味でも高評価です(*´Д`*)
【No.01】〜【No.30】←いまここ
【No.31】〜【No.60】
【No.61】〜【No.74】